サンタフェはアメリカ南西部、ニューメキシコ州の州都。面積は97平方km(37平方マイル)、2130mの標高はアメリカ州都では最高。
サンタフェは僕のもっとも好きな町。春夏秋冬すべての季節に何度も訪れたが、とりわけ初秋は素晴らしい。キャニオンロードに赤い野生リンゴが実り、サンタフェ山のハコヤナギが鮮やかな黄金に色づく。真っ青な空、乾いた風とキラキラと輝く日差しはサンタフェ特有の魅力である。
人口たった6万人の田舎町に10以上の美術館、そして数百のアートギャラリーがあり、洗練された料理を出すレストランがたくさんあり、Inn of Anasaziという上質なホテルもある。その文化度の高さは神秘的ですらある。
サンタフェには1万2千年前から人類が居住していた。11世紀にはインディアン、プエブロ(Pueblo)族が集落を形成し、当地は古来より先住民からパワースポットとして崇められてきた神聖な土地なのだ。
15世紀に入植したスペイン人がプエブロ族を制圧し1607年にサンタフェの町が創設された。1824年、メキシコ独立にともないメキシコ領となり、1846年にアメリカ支配下となった。
1958年、徐々に寂れつつあったサンタフェに景観条例が施行された。建築スタイルを2種に限定して独特の町並みをつくろうという町興しの試みである。アドビ(Adobe)煉瓦によるプエブロリバイバル(Pueblo Revival)とスパニッシュコロニアル(Spanish Colonial)である
景観条例は日本にもあるがそれは建築のデザイン様式や色彩まで規定するものではない。例えば京都の祇園花見小路の古くからある町並みにコンクリートのビルがひとつ出来ただけでも町の風景は一変する。ともかくサンタフェの厳しい条例は成功を収めた。
デザイン規制がサンタフェ・スタイルという貴重な文化価値を創出したのである。
プエブロインディアン・アートの町