グレート・リバーロード
アメリカ縦断、大河ミシシッピの旅
グレート・リバーロードは蒸気船が往来した19世紀のミシシッピ河川交易を象徴する道路。全長2069マイル(3329km)でミシシッピ川に沿ってアメリカを南北に縦断する。
ミシシッピ川は開拓時代における農産物、綿花や砂糖など重要な河川交易のルートとなっていた。そのミシシッピに並走する道路がグレート・リバーロードでありアメリカを東西に繋いだルート66と共にアメリカの経済発展を彩った歴史街道となっている。
僕たち夫婦は同じ年の夏と冬の2回に分けてこの道を走行した。もちろん夏に北部、冬に南部。南北に移動する縦の旅は日ごとに気候が変化し植物相の移り変わりも大きくメリハリがある。
ミシシッピ川はミネソタ州北部にある氷河湖イタカスを源流とし、南下してウィスコンシン、アイオワ、イリノイ、ケンタッキー、テネシー、アーカンソー、ミズーリ、ミシシッピ、ルイジアナの10州を経てニューオーリンズ港があるメキシコ湾に注ぐ。
ミシシッピの語源は先住民オジブワ族の言葉で「大きな川」。アマゾン、ナイルと並ぶ世界三大河川のひとつで総延長は3731マイル(5971km)。直線に換算すると北海道から沖縄の倍の距離という途方もない長さなのである。流域には紀元前から多部族の先住民が住んだが、17世紀中ごろからフランス人による入植がはじまりフランス領となった。
1803年にアメリカはミシシッピ川以西のルイジアナをフランスから購入。2500万ドルという世紀の大買収によりミシシッピ川の東西流域はアメリカ支配下となった。蒸気船での航行は1811年から始まり、南北戦争が勃発した1860年代に最盛期を迎え、その後鉄道の登場に伴い急速に衰退する。
ウインスコンシン州ラクロス(La Crosse)は川に面した静かな町(写真4)。河口から北に1500マイル(2400km)も遡った内陸にありながら川幅は何と5000m。川岸からの眺めはまさに大海原。アメリカのスケールを見せつけられた思いである。