デスバレー国立公園はアメリカ西海岸、カリフォルニア州とネバダ州に跨るアメリカ本土最大の国立公園。公園面積13158平方km(5078平方マイル)は東京都の6倍。最大標高はテレスコープ峠で3368m、最低地点はバッドウォーターでマイナス86m。1994年に国立公園に指定された。
空気が極度に乾燥しているため、少々雨が降っても地上まで届かないという過酷な環境。摂氏35度以上の気温が年間8か月続き、真夏の最高気温は56.7度を記録したという、デスバレーはまさに死の谷なのだ
僕はアメリカで摂氏45度を体験したが日本の夏の暑さとはかなり違う感覚だった。汗を全然かかないのでそれほど不快感はない。しかし高温乾燥下では体からみるみる水分が奪われてゆく感覚がありそれに応じてどんどん水を補給しなければならない。そして気を付けるべきは帯電した車や金属のドアノブだ。不用意に触ると痛い目に遭う。バチっと静電気の火柱が飛び、相当恐ろしい。
これほど気温が高くなるとレストランやホテルは猛烈にエアコンを効かすのでたいていの日本人は暑さそのものより温度差と乾燥で体調がおかしくなる。しかしヨーロッパ系の白人はこういう環境下でもいたって平気、すこぶる元気である。
つけ加えるとアメリカの風邪薬や鎮痛薬は少し危険。成分が強いので日本人は四分の1に割って飲むと良いとよくいわれる。彼らは酒にも強くほとんど酔わないので驚いたこともある。西部開拓時代、この過酷な死の谷を越え更に西へ西へと進んだ人々が現実にいたかと思うと、その体力と精神力にあらためて驚く。
ファーニスクリーク(Furnace Creek)にビジターセンターがあり博物館もある。西部劇に出てくるようなFurnace Creek Innのビラとレストランは簡素だがたいへん雰囲気がよい。
なおデスバレーのレーストラック・プラヤ(Racetrack Playa)という地域で夜中に岩石が数十m移動する不思議な現象が度々目撃されている。1年に数十km移動したという報告もある。これはセーリングストーン(Sailing Stone)と呼ばれていて、今までに多くの科学者やNASAも調査
したそうだがはっきりとした理由はまだわかっていない。
2014年にアメリカの機関Scripps Institution of Oceanographyが2年がかりの研究により、セーリングストーンは岩石が氷に押されて動く現象という発表を行い一件落着したかに見えたがその後に新説が出てくるなど謎が完全に解明されたわけではなさそうだ。
荒々しい大地。灼熱の太陽