ビッグベンド国立公園はアメリカ南東部、テキサスとメキシコとの州境を流れるリオグランデ川の北側、面積3242平方km(1251平方マイル)は東京都の1.5倍。最大標高はチソス山脈にあるエモリー岳で2387m。1944年に国立公園に指定された。
同じくテキサスの南にあるグアダルーペマウンテンをアメリカの大秘境と書いたが、こちらは更に辺鄙。テキサスのヒューストン、ダラスのどちらからでも直線距離で650マイル、車で延々片道11時間かかる。ここまで奥地になると余程の動機が無ければ誰もここまでは来ないだろう。
事実、統計によると来園者の殆どがテキサス在住者なのだという。しかし辿り着いた時のうれしさは格段。よくこんなところまで来たものだと我ながら感動する。
ヨセミテやイエローストーンと違って観光的なポイントがない分、余計に空漠とした風景に迫力を感じる。地平線まで続く平原と尖った山々の荒々しい風景はまさにアメリカ大自然と形容するにふさわしい。
ビッグベンドの殆どの面積をチワワ砂漠が占め、中央部にチソス山脈が走る。高温の砂漠から冷涼な山岳地帯と多様性に富んだ気候は多種の動植物を育み、生態系の宝庫となっている。また土地を掘り返すと白亜紀、第三紀の生物の化石が大量に出土するという。当地は地質学上における重要な地域でもあると考えられている。
ビッグベンドの宿泊施設及びレストランはチソス・マウンテンロッジ(Cisos Mountain Lodge)1軒のみ。ただし公園から20マイルほど離れた田舎町ターリングア(Tarlingua)とアルパイン(Alpain)にはモーテルがいくつかあり、その点では周辺にまったく何も無いグアダルーペマウンテンの秘境感には及ばない。
この地域には、かつて遊牧民といわれた古代狩猟民族チソス・インディアン(Chisos Indian)、その後メスカレロ・アパッチ(Mescalero Apache)族、更に18世紀にはコマンチェ(Comanche)族が居住したが、ヨーロッパ入植者の移住が進んだ19世紀以降に衰退した。
大迫力の砂漠と山岳。アメリカ最大の辺境の地