フォートワースはアメリカ南東部、テキサス州の北東部にあり、面積は774平方km(299平方マイル)、標高237m。
19世紀、カウボーイの町として知られた当地には各地から牛が集まり取引された。当時の面影を残すストックヤード国立歴史地区はダウンタウンから5マイルほど北にある。ストックヤードの家畜取引は1876年の鉄道開通をきっかけに大発展。しかし20世紀に入り自動車の出現に伴いアメリカの物流政策は転換し当地は衰退する。
鉄道登場から100年後の1976年に当地の由緒ある建物が復元され国立歴史地区に制定された。当地区の最大の見ものはテキサス人が誇るロングホーンの行進、キャトルドライブだ(写真4)。
乗馬したカウボーイたちが数千頭のロングホーンを伴い東に向かう旅を昔はCattle Driveと呼んだ。ロングホーンは長旅に耐える強靭な体力を持つ牛なのだ。
テキサス出身のプロレスラー、スタン・ハンセンが右手で角の形にする決めポーズもロングホーン。Stockyards Station、Cowtown Coliseum、Texas Cowboy Hall of Fameなど当地区には歴史的な建物も多くある。
19世紀の町並みの中、直感頼りでステーキハウスに入った。店名はキャトルメンズ(Cattle Men’s、写真1)。年季の入ったオーク材の内装でちょっと格式が高そうだ。まずはガラスケースにずらっと展示してあるステーキ肉を観察する。
かなり悩みつつ選んだのは定番のポーターハウスではなくニューヨークストリップ。サーロインより脂はさらに多めで少しだけ硬めの肉質。もちろん数週間寝かせたドライエイジド・ビーフだ。結果は大当たり、炭火で表面だけを焦がすように焼くアメリカにはよくある香ばしいタイプのステーキだが肉質が抜群。
元々アメリカのステーキレベルはひじょうに高い。今まではニューヨークのピータールーガー(Peter Luger)、ちょっと落ちてウルフガング(Wolfgang’s)、ベンジャミン(Benjamin)あたりが最高ランクと思っていたが、さすがにCowtownフォートワース、本場の味と雰囲気に大満足した。
カウボーイ発祥の地