モニュメントバレーはアメリカ西部ユタ、アメリカ南西部アリゾナ州に跨るおおよそ70000平方Km(2700平方マイル)に及ぶ広大な地域。
迫力溢れる景観、歴史的価値からいえば文句なしにアメリカ国立公園のレベルにあるが、当地はアメリカ政府の管轄外でナバホ族の居留地(Indian Reservations)なので、正式名称はMonument Valley Navajo Tribal Park。モニュメントバレー・ナバホ族立公園である。
当地では新石器時代にすでに人類の歴史があり紀元前にはアナサジが住み、その後パイユートの土地となり19世紀からナバホが居住するようになった。モニュメントバレーがあるユタ、コロラド、ニューメキシコ、アリゾナの4州が交わるフォーコーナーズ周辺は国立公園が集中するアメリカでもっとも魅力的な自然景観を有する地域であり、多くの先住民が住んでいた。
地殻変動により隆起した台地をメサ(Mesa)といい、ひび割れが雨や風で次第に広がり峡谷(Canyon)となる。削られた峡谷は数百万年を経てロックマウンテンの風景になり、さらに浸食が進んだ残丘部をビュート(Butte)という。現在のモニュメントバレーの平地部はかつての谷底。盛り上がった山のように見えるビュートの頂上部は浸食を逃れた台地、メサだったのだ。
僕たちはケイエンタを経てモニュメントバレーに入った。突然現れるビュートの迫力、大平原のスケールに圧倒される。しかしこのダイナミックな景観はどことなく見なれた感、既視感をともなう。よく考えてみると子供のころから何度も見てきた典型的な西部劇のビジュアルなのだ。現実離れしすぎてあまりにも映画的ともいえる。
モニュメントバレーの風景は「駅馬車」、「黄色いリボン」、「アパッチ砦」などジョン・フォード監督が好んで使ったロケ場所でもある。このロックマウンテンの全体を見渡せる場所は現在John Ford’s Pointと呼ばれている。
この大自然のその後の映画への登場は「2001年宇宙の旅」、「イージー・ライダー」、「Back to The Future」などなど、数えればきりがない。モニュメントバレーの風景に見なれた感を持つ人々は世界中に増え続けているのだ。
1万年の歴史をもつ先住民の聖地