アメリカ最高湿度と最高雨量、鬱蒼と茂る温帯雨林
オリンピック国立公園はアメリカ西海岸、ワシントン州にあり面積は3734平方km(1441平方マイル)、最大標高はオリンポス山で2427m。1938年に国立公園に指定、公園内のホー・レインフォレストは1981年にユネスコ世界遺産に指定された(写真1-2)。
シアトルからは直線ではたった30マイルの距離だが海峡を挟んだ反対側のオリンピック半島北端にあるので車でいったん南に迂回しタコマ、そしてオリンピアを経由する必要がある。
オリンピック国立公園はまったく異なった景観を持つ三つのエリアをひとつに統合して成り立っている。太平洋岸の海岸線、オリンピック山脈地帯、温帯雨林である。
太平洋岸の海岸線は森と砂浜が一体化され寒流が打ち寄せる壮大な眺め。海岸には巨大な動物が白骨化したかのようなゴツゴツした流木が散乱し不思議な風景をつくっている。
氷河に覆われたオリンピック山脈地帯は清涼感があり壮大。夏季には高山植物が咲き乱れ一面のお花畑となる(写真3)。西側のオリンポス山は太平洋の湿った空気の影響を受け降雪が多く氷河が見える(写真4)。反対に東側のデセプション山は乾燥した岩肌がむき出しの山岳であり際立った対比を成す。
そしてオリンピック国立公園の最大の見どころともいうべき温帯雨林。ここはまさに異界。山脈地帯の爽快感とは一転、どんより重く湿った空気が垂れこめる。昼でも薄暗い。地面はシダ類で覆われ、樹木からは苔が垂れ下がり異様な雰囲気。負のパワースポットとでも表現しようか、魔物がひっそりこちらを窺っているかのようにも感じる。とても長くは居られない。
このエリアの雨量、年間3700mmはアメリカ本土最高、湿度でもアメリカ最高を記録している。