ポートイザベルはメキシコと国境を接するアメリカ南西部、テキサス州最南端の小さな港町。面積は8平方km(3平方マイル)。当地はメキシコ革命後にアメリカ領となり18世紀から19世紀にかけて綿花積み出し港として活況を呈した。
メキシコ湾を望み、きりっと立つ灯台に僅かに往時の繁栄が偲ばれる(写真1)。イザベル灯台は1852年創設、南北戦争後の修復を経て長らく稼働したが1905年に消灯。1976年にテキサス州歴史遺跡に指定された。
ポートイザベルはパドレ島のゲートシティでもある。海岸線と並行して南北数百マイル、幅がたった2マイルという驚異的に細長い島で、その南端のサウスパドレアイランドはテキサス州を代表するビーチリゾート、別荘地として知られている。
僕たち夫婦は当地に4泊の予定で出かけたが延々と続くビーチはたしかに素晴らしいが、施設やレストランはどこも少し寂れた感があって期待外れというのが正直な感想。
ポートイザベルの北側がラグナ・アタスコサ野生動物保護区となっていて毎年11月には25万羽もの水鳥が訪れる。特記すべきは当地海岸沿いに棲む幻の野生ネコ「オセロット」(Ocelot、学名Leopardus Pardalis)の存在。抜群のスタイルとゴージャスな毛並みを持つオセロットの美しさはアメリカではネコ科最高と称賛されている。
ちなみにアメリカネコの代表格アメリカンショートヘアは先住民オセロットとは違いいわゆる入植者。イギリスから新天地を目指し1621年にマサチューセッツに着いたメイフラワー号に乗っていたネコの子孫であるとされている。オセロットに似たネコを作り出そうと交配されたのがオシキャット(Ocicat)。しかしオセロットの血は入っておらずアビシニアン、シャム、アメリカンショートヘアの混血だそうだ。
ともかくぱっちりとした丸く大きな目。梅花紋といわれる野生的な黒い斑点。負けん気の強そうなオセロットの可愛さはネコ好きにはたまらない。優美な毛皮がきわめて高額で取引され個体数が激減、現在は絶滅危惧種に指定されている。
ポートイザベルでは野生12匹が確認されていて、アメリカ全体の推定個体数は50匹。人になつきやすことでも知られていて野生以外に数十匹の飼育オセロットがいるという。海岸近くをウロウロしたが遭遇未体験、映像でしか見たことがない。
幻のネコ、野生オセロットの棲家