アーミッシュの暮らしが今も続く
ランカスターはアメリカ北東部、ペンシルベニア州南部にあり面積19平方km(7平方マイル)、標高112m。アメリカ東海岸でもっとも長い川、サスケハナリバー(Susquehanna River)が町の西方に流れる。川の名はインディアン、サスケハナ族に由来する。
メイフラワー号で最初のヨーロッパ人が入植した1620年当時に2000人ほどが当地に居住していたが、その後サスケハナ族は衰退し川の名だけが残った。
ランカスターの歴史は古く、1709年に最初の移民であるペンシルベニア・ダッチが入植し、1729年に正式な町となった。
ランカスターはアーミッシュの町としても知られている。アーミッシュはカトリックの教義に厳格に従い移民当初の生活スタイルを守り続けている人々のこと。アメリカに住むアーミッシュ30万人の15%がランカスター居住といわれている。
ランカスターの郊外ではアーミッシュの家族が乗る馬車に何度も出会った。男性はつばの広い黒い帽子にあごひげ、吊ズボン。女性は髪の毛を束ねボンネットをかぶる独特のスタイルだ。アーミッシュの人々は車を所有しない、自宅に電気を引かないなど厳格なルールを定め近代技術に頼らない生活を300年以上も守り続けている。
ランカスターといえば1985年のハリソン・フォード主演の「刑事ジョン・ブック目撃者(Witness)」の印象が強烈だった。その映画で描かれていたアーミッシュの禁欲的、宗教色の強い規律に縛られた生活が重々しくちょっと恐ろしい生活にも思えた。
しかしランカスターを訪れアーミッシュの人々の生活に少しだけだが触れてみると、実はそれどころかアメリカ開拓時代のシンプルな生き方を継承している普通の人たちだとわかり、僕としてはかなりほっとしたのである。