アーチーズ国立公園はアメリカ西部、ユタ州の東南部に位置し面積は309平方km(119平方マイル)、最大標高は1732m。1971年に国立公園に指定された。
数億年前内海だった当地の最高気温は摂氏60度。強い太陽熱で海水が蒸発し岩塩地帯となり、その上部に土砂が堆積し1000m以上の厚さを持った地層が形成された。この地層が4千年前の地殻変動により隆起しコロラド川による浸食により岩塩層が溶解、水や風力の影響で岩に開いた穴が広がり特殊な地形が出来がった。
驚いたことにこの地域にはアーチ形をした巨石が2000以上もあり、総称してアーチーズと呼ばれている。とりわけデリケートアーチはアメリカ国立公園を象徴する風景として広く知られている。
コロラド州デンバー国際空港から車で6時間、さらに傾斜のきつい片道2時間のトレイルを登り切って念願のデリケートアーチに到着。やっと辿り着いたという感激もさることながら赤く染まった巨石アーチの見事なバランスに驚嘆した。高さ17m、空にそびえる岩石のかたまり。
どこか京都の平安神宮大鳥居をほうふつとさせる神々しささえ感じられる。鳥居とは神域への入り口を示し、神を祀る空間と人間が住む俗界を区画する結界であるという。かつて先住民の聖地としてこの場所が信仰の対象になっていたことは想像に難くない。
当地には紀元前後から15世紀頃にかけ狩猟採集と農耕を営む先住民アナサジ(Anasazi)族の居住地となっていた。15世紀以降はユタ州の語源となったユト(Ute)族の棲みかとなった。ユト・アステカ語族(Uto-Aztecan)に属する勇猛な山岳騎馬民族である。
アーチーズはモアブ断層の真上にあり、景観の素晴らしさに加えて強いパワースポットの土地でもある。傾斜の大きいトレイルを登っていても殆ど疲れを感じない。それどころか不思議なことに体中に清々しいエネルギーが満ちてくる。
大自然に架けられた巨石の大鳥居