バーズタウンはアメリカ南東部、ケンタッキー州のほぼ真ん中、ネルソン郡にある町で面積19平方km(7平方マイル)、標高197m。町名の由来は1785年にバージニアから入植したデイビッド(David Bard)とウイリアム(William Bard)のバード兄弟による。
バーズタウンはバーボンウィスキーの町。バーボンの95%がケンタッキー州で生産されるという。スコッチは大麦が原料、バーボンはトウモロコシ、とにかく百聞は一見に如かず、僕たち夫婦はルイビルからからスタートしてバーズタウンを経てレキシントンに向かう100マイルの道のりを2日間で巡ることにした。ケンタッキー・バーボントレイルだ。
実際行ってみるとワイナリーとはだいぶ様子が異なる。ディスティラリーというのは全体的に男性的だと思った。広大な敷地に点在する施設は巨大なのでひとつの蒸留所を見学するだけで物凄い運動量になる。
ワイナリーはアメリカだけで1万か所あり、世界だと数10万に及ぶ少量多品種ビジネス。ひきかえバーボンはケンタッキー州のたった10数社で世界市場の95%を占めている。1か所から生産される量が全然違うのだ。
ヘブンヒルのテイスティング設備には感心した。グラスをぐるぐる回す優雅なワインとは流儀が違う。トランペットのような形のラッパが壁面に並んでいてスイッチを押すと液状のバーボンが顔に向けて噴出、全身全霊で香りを体感する何とも強引な仕掛けだ。ほとんどの人がスイッチを押すので、おかげで館内にはバーボン臭が立ち込めそれはそれで気分が上がる。
メーカーズマーク、フォアローゼズ、ジムビームなどそれぞれ見応えがあったが、何といってもワイルドターキーは素晴らしかった。ディスティラリーとしての設備も抜群なので見学をして回っていて快適だがミュージアムの展示デザインも素晴らしい。
ワイルドターキーのシンボルは七面鳥。かなり大型の鳥でアメリカ南部の森には多くの野生七面鳥が棲んでいるらしい。何しろルックスが凄いのだ。黒光りする羽毛で全身が覆われ首から上は無毛、イボだらけの顔にハゲアタマ。鋭い目つきでこわもて感は半端ない。
人気が出るキャラクターとは思えないのだが、何しろ当地はケンタッキー。日本に溢れるゆるキャラちゃんではバーボンのマスコットは務まらないのだ。しかしあまりにもドスが効きすぎたか、正面向きの顔は1999年に横顔にリニューアルされ最近はおとなしくなった。
ケンタッキー・バーボントレイル