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官浪辰夫(かんなみ・たつお)

1952年大阪府生まれ。1980年代中頃から仕事でニューヨークを頻繁に行き来するようになり、それと共にアメリカ各地を訪ねる機会が増えた。年に7、8回、アメリカを往復したこともあったが、最近はむしろヨーロッパへの出張が増えた。しかしアメリカへの興味はますます募り、少なくとも夏と冬くらいは夫婦でゆっくりアメリカ大自然を満喫したいと思っている。東京都世田谷区在住、仕事場は港区南青山。

官浪辰夫の仕事上のプロフィルはこちら。
www.kdi-inc.jp/profile
アメリカの大自然は素晴らしい。土地が隆起しひび割れに水が浸食して深い谷が出来、残された地層はやがて山となる。単純明快。アメリカの大自然は地球創生の歴史を手に取るようにわかりやすく教えてくれるのだ。
グランドキャニオンがあった土地はかつて海洋だった。地殻変動により8000mも上昇した台地は急峻なコロラド川に削られ、数百万年を経て現在の大峡谷の景観となった。この先、数百万年でセドナのようなロックマウンテンになり、さらに数百万年でモニュメントバレーの残丘に変わり、いずれ大平原になるという。
アメリカの田舎町もとても魅力的だ。大自然に人が分け入り集落ができ、田舎から次第に町に移り変わる過程にあるさまざまな人々の生活文化を体感することができるのだ。
思えば僕のアメリカ各地を巡りパワースポットを探索する旅はアメリカ先住民の歴史をたどる旅ともなった。僕が好きな大自然、田舎町にはまず間違いなく彼らの足跡があったからだ。
先住民、つまりモンゴロイドは今からおおよそ1万3千年から2万年前にアジアから氷河棚に覆われたベーリング海峡を渡りアラスカを経て南下した。彼らは自然万物と語り合い大地の教示に従い生きてきた。そして広いアメリカの中から自分たちにふさわしい場所を探し当て、数千年に渡りそこで暮らした。
彼らの地と、現在のグランドティトンやセドナなど国立公園やパワースポットとして脚光を浴びている場所がことごとく一致したとしても何ら不思議はない。
パワースポットはアメリカではボルテックス、つまり地中から天空に向け渦巻状の強い磁力が発する場所と解釈されている。博物学者の荒俣宏氏は、パワースポットを「大地の力がみなぎる場所」と定義し、日本にも「熊野三山詣で」などの事例があると説明している。
風水研究家で長年の友人でもある御堂龍児氏は、土地の気を霊視で見抜く能力の持ち主だが、一方ではガウスメーターで磁気を測定しパワースポットを数値化するという科学的な試みも行っている。
しかし僕の大自然巡りは直感がたよりである。自分が好きだと思えるところに長く滞在し、あるいは何度も赴く。いにしえのアメリカ先住民の人々は特別な山、湖、川に精霊を見出し聖地とした。危ないと予知した時にはいさぎよく退避した。できるならば彼らと同じ感度で大自然と付き合えるようになりたいと思っている。
付け加えるに、美しい自然景観はアメリカの偉大な財産であり尊敬に値する。これは短期でなし得ることでは無く、自然を理解し景観保護に真剣に取り組むアメリカ政府の長期政策のもとに実現している。国立公園局には2万人近い政府職員がいるのである。日本人として羨ましくもあり、片や日本の実情を考えると情けなくも思う。
国立公園には商業的な看板などひとつもない。ビジターセンターでは地理や自然の歴史、気象に関する知的で的確な情報が得られ、公園レンジャーはさまざまな危機に対する管理を怠らない。彼らの存在があるからこそ安心して自然を楽しむことができるのだ。
かれこれ30年、各地を巡り自分の記憶も不確かになってきた。もともと自分の記録のために書き始めたものなので間違いがあるかも知れないが、了承いただきたい。印象に残った場所は70箇所くらい。そして、これからも自然を訪ねる旅は続けるので100箇所を目指したいが、どうしても気に行った所を繰り返すのでそうは増えない。
この記録がこれからアメリカを旅しようと考えている若い人たち、アメリカ大自然から何かを学ぼうと考えている学生諸君の役に立てばうれしく思う。